僕の記憶が正しければ
ただ暗いだけの底なしの中で浮かんでいた
おされながら ひかれながら ゆらゆらと
時々落ちてくる賑やかな様子は
ただ暗いだけの底なしの中から蠢きを浮かばせた
たかく たかく なんども なんども 落ちてくる蠢きは
激しい混ざりを絡ませながら姿を変えていった
僕の記憶が正しければ
ただ暗いだけの底なしの中を突き抜けようと
とうとう蠢きが突き抜けた瞬間
しがみついてきた大きな眩しさが僕に目隠しをした
僕の記憶が正しければ
そのとき始めて眺めていたのは僕だと気付いた
しがみついた大きな眩しさは
剥がれながら怯えるほどの冷たさを残して
温もりを教えてくれた
僕は最後に剥がれようとする大きな眩しさを手繰り寄せながら
ただ暗い底なしの中を進んでいた
今だけがある場所から眩しさを求めて
生きるために
ただ暗い底なしの中から疑いもなく
僕は生まれたんだ
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